HDMIで長い距離をつなぐ前に、ぜひ読んでほしいこと
まず最初に、よくある話から。
客席のいちばん後ろにプロジェクターを置きたい。体育館の端から端まで映像を送りたい。
ステージ袖から離れたモニターに出したい。
「長いHDMIを買えばいけるでしょ」
そう思いますよね。私も昔はそうでした。
本番で多いトラブル
・リハでは映っていた・本番直前にブラックアウト
・チラつく
・急に“信号なし”
パソコンの設定なのか、
ケーブル、プロジェクターの故障なのか。
原因の切り分けに時間をとられていく。押すリハーサル、迫る本番。
胃がキリキリと痛みます。
なぜ起きるのか。答えは単純
距離が長いと、信号は弱くなります。HDMIは電気信号で映像を送っています。
電気信号は距離が伸びるほど減衰します。
目安としては、
・5m前後 → 安定しやすい
・10m前後 → 環境次第
・それ以上 → 不安定になりやすい
解決策は簡単に3つ
① SDIケーブルを使う放送や配信現場では定番。
・ロック付きで抜けにくい
・物理的に強い
・長距離でも安定
常設や人の出入りが多い現場では今も主流です。
ただしHDMI機器と接続する場合は変換器が必要。
そのぶん機材点数が増えます。
② HDMIエクステンダーを使う
LANケーブルなどに変換して延ばす方法。
LANケーブルという身近なケーブルで扱いやすい。
ただし、
・変換器が増える
・電源が増える
・トラブル時の確認箇所が増える
など設営はやや複雑になります。
③ 光HDMIを使う
そこでおすすめしたいのが、ケーブル1本で解決できる「光HDMI」です。
光HDMIは、信号を電気ではなく光で送ります。
長距離でも減衰しにくい。ノイズにも強い。
10m。
20m。
50m以上。
それでも安定しやすいのが特長です。
しかも基本は挿すだけ。
中継機も外部電源も不要。
設営のシンプルさは大きな武器になります。
光HDMIで必ず知っておいてほしいこと
ここは強調しておきたい。光HDMIには向きがあります。
コネクタに
・Source(出力側)
・Display(表示側)
と書いてあります。
逆に挿すと、絶対に映りません。
しかも途中で反転はできません。
必ず出力側から表示側へ。
初めて使う方が一番つまずくのがここです。
事前テストは“映るか”ではなく“安定するか”
専門職として、これははっきり言います。必ず本番と同じ条件でテストしてください。
・実際に使う解像度で
・実際のケーブル長で
・できれば前日までに
そして確認するのは
「映るかどうか」ではなく
「10分置いても安定しているかどうか」
一瞬映っただけでは安心できません。
物理対策も、実はかなり大事
特に光HDMIはロックがありません。・ケーブルは養生テープで固定
・人の動線を避ける
・コネクタ付近に負荷をかけない
これだけで事故率はかなり下がります。
物理的な抜けで止まるほうが多いので万全に対策をしましょう。
そして、コストの話
通常のHDMIは安価です。光HDMIはやや高め。
SDIは機材込みでさらに上。
でも私はこう考えています。
「安心はコストで買える」
本番で止まるリスクを考えれば、
ケーブルの差額は保険のようなもの。
現場で冷や汗をかくより、
事前に対策しておくほうがずっと安い。
まとめ
距離が長い現場では、・解像度も含めて考える
・構成をシンプルにする
・必ず事前テストをする
そして用途に応じて、
物理的強度重視ならSDI。
手軽さと長距離を両立するなら光HDMI。
私はそう判断しています。
ケーブルは地味です。
でも、現場の安定をいちばん左右します。
「とりあえず長いHDMI」で進める前に、
一度だけ立ち止まって考えてみてください。
本番で慌てないために。
準備の段階が、すべてを決めます。
結局、現場の状況次第ですが、あらかじめ準備しておくことで設営も、本番も、ぐっと安心できるものになります。
もし実際に導入を考えているなら、事前に短めのものからテストしてみるのがおすすめです。